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レバレッジ型投資信託は、上昇相場で利益を上げ、下落相場に強い!?メリットやデメリットは?

投資信託ランキング

※SBI証券公式サイトより

最近、「投資信託販売金額ランキング」で上位にランクインする投資信託に「グローバル3倍3分法ファンド」という投資信託があります。この投資信託は、上昇相場で値上がりし、下落相場で値下がりしにくい特徴を持っています。投資信託の規模を表す純資産総額は2,000億円を超えています。

このページでは、「グローバル3倍3分法ファンド」を例に、レバレッジ型投資信託のしくみや特徴、注意点などを解説します。

レバレッジ型投資信託とは?

まずはレバレッジ型投資信託について説明します。

レバレッジとは「てこ」の意味です。投資信託の運用に投資信託の運用に先物取引を使うことで、一般的な投資信託にはない、特殊なしくみを持つ投資信託を作ることができます。

みなさんが「レバレッジ型投資信託」と聞いてまず思いつくのは、「日本株ブル」「日本株ベア」といったブルベアファンドではないでしょうか。ブルベアファンドは、日経平均株価やTOPIXなどの株価指標の動きの+2~3倍値上がりしたり、-2~3倍値下がりしたりする投資信託です。

ブルベアファンドは上手に運用できれば利益を出せますが、以下のようなデメリットもあります。

  • ・しくみが複雑
  • ・投資信託の中でもリスクが大きい
  • ・長期投資には向かない

ですから、ある程度投資の知識や経験がある人に向いた投資信託と言えます。(ブルベアファンドについては、「ブルベアファンドの特徴とメリット・デメリットとは?」で、解説していますので、このページと合わせてご覧になってください。)

一方、最近人気を集める「グローバル3倍3分法ファンド」を代表とする、新たなタイプのレバレッジ型の投資信託は、ブルベアファンドと同じく先物取引を使って運用されます。しかし、ブルベアファンドのようなリスクの取り方をしていません。 ここからは、「グローバル3倍3分法ファンド」を例に出し、新たなレバレッジ型投資信託についてかみ砕いて説明します。

「グローバル3倍3分法ファンド」とは?

グローバル3倍3分法ファンド」は、株・債券・REIT(不動産)に、分散投資するバランスファンドの1つです。投資信託の運用期間中にかかる手数料「運用管理費用」は年0.484%と、一般的なバランスファンドよりも、やや手数料が高いくらいに抑えられています。

ファンド名 運用管理費用
eMAXIS Slim バランス
(8資産均等型)
0.154%
グローバル3倍3分法ファンド
(1年決算型)
0.484%
参考:全投資信託平均 1.23%

グローバル3倍3分法ファンドと、通常のバランスファンドとの違いは、投資信託の運用に先物取引を使ってレバレッジをかけ、実際に保有する資金の3倍の資産を運用する点です。 下の表は、「グローバル3倍3分法ファンド」のレバレッジをかかる前とかけた後の各資産の投資比率です。

  レバレッジを
かける前
レバレッジを
かけた後
20% 60%
REIT 13.3% 40%
債券 66.7% 200%
合計 100% 300%

「グローバル3倍3分法ファンド」は、レバレッジをかけることで、各資産の投資比率を、実際の3倍に高めています。

投資信託の運用にレバレッジをかけるメリット

グローバル3倍3分法ファンド」は、なぜ投資信託の運用にレバレッジをかけるのでしょうか?その理由は、投資信託の収益性と安定性を両立させるためです。「グローバル3倍」が運用する資産の中でも、期待されるリターンが大きい株とREITの投資比率を、それぞれ20%から60%、13.3%から40%に高めることで、投資信託の収益性を高めています

また、株やREITと比較して価格の変動が小さい債券の投資比率を、66.7%から200%に高めることで、投資信託全体のリスクを小さくしています

このように、レバレッジを活用して収益性の高い株やREITの投資比率を高めつつ、安定性の高い債券の比率をさらに高めることで、株・REITが値上がりするときには投資信託の価格が上昇し、株・REITが値下がりするときには、投資比率の大きい債券が投資信託の価格の下落をカバーします。

「グローバル3倍3分法ファンド」の運用シミュレーションと運用実績

下のグラフは、「グローバル3倍3分法ファンド」を仮に2003年から運用した場合に、どのようなパフォーマンスを出したかシミュレーションしたグラフです。あくまでもシミュレーション上の結果ですが、「グローバル3倍」が株式や債券と比較して高いパフォーマンスを残していることが分かります。

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※SBI証券公式サイトより

「グローバル3倍3分法ファンド」のパフォーマンスの高さは、シミュレーション期間中の株高やRIET高の影響だけでなく、債券価格の上昇も影響しています

2008年のリーマンショック後、先進国を中心に冷え込んだ景気を回復させるために、中央銀行(国の銀行)が債券を買い入れしています。これにより債券価格が上昇し、シミュレーションで高いパフォーマンスが出ているという背景があります。

続いては実際のパフォーマンスを確認しましょう。下の表は、「グローバル3倍3分法ファンド」の過去1年の騰落率(投資信託の基準価格がどれだけ変動したか示したもの)です。比較対象として、日経平均株価連動型の投資信託「ニッセイ日経225インデックスファンド」の騰落率を並べています。

  グローバル3倍3分法ファンド
(1年決算型)
ニッセイ日経225
インデックスファンド
3か月 6.64% 6.93%
6か月 13.16% 3.59%
1年 29.50% 7.39%

過去1年という短い期間ですが、両方の成績を比較すると、「グローバル3倍3分法ファンド」が、おおむね高いパフォーマンスを残していることが分かります。

レバレッジを活用した投資信託の例

「グローバル3倍3分法ファンド」が好調な運用実績を出し、注目を集めていることを受け、投資信託の運用会社各社は、「グローバル3倍」と同じ手法を使った投資信託を次々と発売しています。

アストマックス-ウルトラバランス 世界株式

ウルトラバランス 世界株式」は、株・債券に投資するだけでなく、にも投資をしています。「グローバル3倍3分法ファンド」と同じく株と債券の投資比率を高めつつ、さらに株や債券と異なる動きをする金にも投資することで、投資信託の収益性と安定性の両立を目指しています。

運用管理費用は年0.73%で、「グローバル3倍3分法ファンド」よりもやや高めに設定されています。

楽天・米国レバレッジバランス・ファンド(愛称:USA360)

楽天・米国レバレッジバランス・ファンド」は、米国の株・債券に投資するレバレッジ型のバランスファンドで、株と債券の投資比率が1:3に設定されています。特徴的な点はレバレッジの高さです。ここまで紹介したレバレッジ型投資信託は、投資額を純資産の3倍に高めていますが、「楽天・米国レバレッジバランス・ファンド」は、投資額を3.6倍まで高めています。

運用管理費用は年0.46%と、「グローバル3倍」並みに抑えられています。

「グローバル3倍3分法ファンド」のデメリット・注意点

万能に見える「グローバル3倍3分法ファンド」ですが、注意したい点が主に2つあります。

①投資比率の高い債券の値下がりに注意する

債券は不況時に安全資産として買われ、値上がりする傾向がありますが、過去リーマンショックのような世界的な経済危機が起きたときは例外でした。リーマンショック時はパニックでさまざまな資産が売られ、債券も価格を下げました

普段の経済情勢であれば、大きく債券の価格が下がることは考えにくいです。しかし、リーマンショックのような世界的な経済危機が起き、一斉に債券が売られると、レバレッジをかけている分、大きく価格を下げる可能性があります

また、先ほど「グローバル3倍3分法ファンド」の過去のシミュレーションの項目で触れましたが、リーマンショック後に、世界の主要国は債券を買い入れして景気を刺激する金融緩和策を進めています。

以下のチャートは、世界の債券価格と連動する投資信託「SMT グローバル債券インデックス・オープン」の価格推移です。

世界の債券価格の動向

SMT グローバル債券インデックス・オープンの運用状況

金融緩和によって、債券価格の上昇が進む、いわゆる「債券バブル」という状況が続いています。この金融緩和の流れが終了すると、債券価格は下落に向かいます。

仮にこのような局面を迎えたときに、「グローバル3倍」が今までと同じようなパフォーマンスを残せるかどうかは未知数です。ですから、債券価格の動向には、注意を払う必要があります。

②信託期間が無期限でない点に注意する

「グローバル3倍3分法ファンド」は、信託期間(投資信託の運用を終了する期日)が2028年9月に設定されています。この期限が来ると、投資信託の運用が終わり、現金化されます。投資信託によっては、信託期間が延長される場合もありますが、現時点では延長されるかどうか分かりません。10年以上の長期にわたって運用を続けたい場合は、他の投資信託の運用を検討するなどの対策が必要です。

レバレッジ型投資信託の評価

レバレッジ型投資信託は、市場が平常時であれば、レバレッジを生かした高いパフォーマンスが見込める商品ですが、株安・債券安のような市場が急変したときのリスクの大きさを考えると、個人的には積極的な投資は避けたいと考えています。

「グローバル3倍3分法」は、先に紹介したシミュレーションでは、好調な運用成績を残しています。しかし、シミュレーション期間中は、金融緩和によって株も債券も値上がりするという特殊な状況でした。

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※SBI証券公式サイトより

仮に金融緩和が終了し、株高・債券安となったときに、シミュレーションのような高いパフォーマンスが残せるのかどうか?また、リーマンショックのような事態で株安と債券安が同時起こったときに、レバレッジがマイナス方向に働き、大きく価格を下げるのではないか?そして、株安・債券安が続いたときに投資信託の運用を継続できるかどうか?こうした点が気になります。

以上のことから、レバレッジ型投資信託は、ある程度投資の経験を積んだ人向けの商品であると見ています。株や債券の動向をチェックでき、レバレッジがマイナス方向に動きそうなときには売却できないと、損失を抱える可能性もあります。

「グローバル3倍3分法」のようなレバレッジを活用した投資信託を運用する場合、投資信託のしくみやリスクをしっかり理解し、どのような要因が、投資信託の価格に影響を与えるかどうか把握したうえで投資する必要があるでしょう。

ちなみにグローバル3倍3分法ファンドには、分配金の支払いが年に1回の「1年決算型」と、隔月支払われる「隔月分配型」があります。隔月分配型は、定期的に分配金を受け取れるメリットはありますが、分配金を再投資することで、運用資産を雪だるま式に増やす複利効果が生まれにくくなるので、資産の成長を期待するなら「1年決算型」を選びましょう。

まとめ

今回紹介した新たなタイプのレバレッジ型投資信託は、バランスファンドをもとに運用されるため、1本で手軽に分散投資ができます。また、レバレッジを活用することで、上昇相場で利益を上げ、下落相場で値を下げにくいという特徴もあわせ持っています。

ただし、レバレッジを活用しているため、一般的な投資信託にないリスクがあります。投資するときにはしくみを十分に理解し、自分が取れるリスクに合わせて投資する必要があるでしょう。

 ▶ グローバル3倍3分法の詳細


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