iDeCoの失敗例を教えてください。
お悩み
iDeCoをはじめようと思っています。失敗例を知りたいので教えてください。
回答
「iDeCoのしくみをきちんと理解していなかった」という失敗例をご紹介します。
失敗エピソード
自営業者のDさんは、独立して働いていることから、老後資金の確保が気になっていました。そこで、税金面で有利なiDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)というしくみがあることを知り、さっそく投資をすることに。自営業者が拠出できる限度額(68,000円)を毎月積み立てることにしました。
子育て世代のDさんにとって、毎月の68,000円は決して小さな金額ではありません。生活を切り詰めて捻出していましたが、子供の成長とともに生活費がかかってくるようになり、積み立てができなくなってしまいました。
また、投資初心者なので、どれに投資をしたらよいのかわからず、すべて定期預金のみで運用しました。その結果、資産が減ることはありませんでしたが、運用から20年経っても、ほとんど増えることもありませんでした。
【ここで失敗(1)】
無理に積み立ててしまった
Dさんは少々、頑張りすぎてしまったようです。とりあえずは、積み立てを休んだり、投資の金額を減らしたりしましょう。iDeCoは原則として60歳までは引き出せません。生活費まで運用に回さずに、別途用意しておきましょう。
また、積み立てを休んでいるときでも、口座管理手数料はかかり続けるので、注意しましょう。その手数料は、一般的にはネット証券が安くなっていて、銀行では高くなる傾向にあります。毎月かかる手数料なので、iDeCoをはじめる前に、どの金融機関を選ぶかも気を付けてください。
【ここで失敗(2)】
運用先を100%定期預金にしてしまった
投資初心者にとって、運用で失敗して、元本が減ってしまうのが怖いことは理解できますが、今の時代、金利がほとんどつかない定期預金のみで運用していては、iDeCoのメリットも半減してしまいます。
たしかに、iDeCoで積み立てた掛け金は、所得控除※になる分、一定のメリットはありますが、積立金の運用益が非課税になるという最大のメリットを生かすことができません。
※所得税や住民税の負担が軽くなります。
老後資金確保のためにも、ある程度の運用利回りは必要になってきます。資産の変動に慣れないうちは、リスクの低い債券の割合を多くするなどして、安定的な運用を心がけるのもよいでしょう。
iDeCoは「積み立て時、運用時、受け取り時」の3点で節税が期待できる優れた制度なので、老後の備えとして積極的に利用しましょう。