なかのアセットマネジメントの商品を徹底解説!評価は?SBIや楽天で買える?
なかのアセットマネジメントは、セゾン投信の創業者である中野晴啓氏が、同社辞任後わずか2カ月で立ち上げた運用会社です。
セゾン投信辞任前から中野氏を知っている人や、セゾン投信の商品に投資していた人は、新しい会社がどんな会社なのか気になっている人も多いと思います。
このページでは、なかのアセットマネジメントがどんな商品を運用しているのか、どんな投資戦略なのか徹底解説しています。
なかのアセットマネジメントはどんな会社?【積立王子の新会社の評価は?】
なかのアセットマネジメントは、2023年9月に立ち上がった新しい運用会社です。2024年4月から2つの商品の運用をスタートしました。まだ始まったばかりのファンドですが、なかのアセットマネジメントの代表取締役社長である中野晴啓氏を知る人は、早速積み立てを開始しているようです!
中野氏は、長期・積立・分散投資の大切さを日本に広めてきた人物の1人です。「積立王子」という愛称でも知られていますね。
中野氏は、まだ世に「積立投資」という言葉が浸透する前から、講演会やセミナーを通して熱い想いやメッセージを発信してきました。実際、多くの個人投資家がその想いに共感し、中野氏が創業に携わったセゾン投信を支持してきました。
15年以上前になりますが、グループサイトの『やさしい株のはじめ方』に、セゾン投信時代の中野氏に取材した記事があります。当時から「投資を通じて多くの人の役に立ちたい」という強い想いを持たれていたことがわかる内容となっています。
グループサイト
セゾン投信の本社へ取材してきました!|やさしい株のはじめ方そんな強い想いを持たれていた中野氏ですが、2023年6月末でセゾン投信を辞任するという事態となりました。
理由は「親会社であるクレディセゾンとの対立」と報道されています。クレディセゾンは、セゾン投信の株式を6割保有しているため、株主総会における意思決定のほとんどを単独でおこなえる状況でした。
一方、なかのアセットマネジメントの場合、株主総会における半分以上の議決権を中野氏自身が持っています。
そのため、なかのアセットマネジメントは、中野氏の想いを濃く反映できる、そして特定の株主に左右されることがない、ある種独立した運用会社であると言えるでしょう。中野氏の想いに共感する人にとって、なかのアセットマネジメントは、より安心して託せる運用会社であると言えそうです。
なかのアセットマネジメントの運用商品
なかのアセットマネジメントは、2つの商品を運用しています。
なかの日本成長ファンド
なかの日本成長ファンドは、国内の株式に投資するアクティブファンドです。長期的な利益成長が見込まれる(クオリティ・グロース)企業を厳選し長期保有します。
なかの日本成長ファンドの最大の特徴は、投資先企業の評価軸を「10年」という長期に設定していることでしょう。企業1つ1つを長期の目線で分析し、1年~2年のリターンではなく、10~20年において数倍から数十倍になる投資リターンの達成を目指します。
詳しいなかの日本成長ファンドの解説は、「投資戦略・組み入れ銘柄を徹底解説」をご確認ください。
なかの世界成長ファンド
なかの世界成長ファンドは、日本を含む全世界の株式に実質的に分散投資できるアクティブファンドです。
なかの世界成長ファンドは、ファンド・オブ・ファンズ形式で運用をしています。株式に直接投資するのではなく、他の複数の投資信託に投資する方式です。長期的に成長が期待される企業に投資をするアクティブファンドに、割安と考えられるタイミングで投資をおこなうことを目指しています。
信託報酬は高い?
「なかの日本成長ファンド」も「なかの世界成長ファンド」も、極端に高い信託報酬というわけではありません。他のアクティブファンドと比べれば妥当であるといえるでしょう。
銘柄名 | 信託報酬 |
---|---|
なかの日本成長ファンド | 1.1% |
ひふみプラス | 1.078% |
セゾン共創日本ファンド | 1.012% |
フィデリティ・日本成長株・ファンド | 1.683% |
厳選ジャパン | 1.694% |
銘柄名 | 信託報酬 |
---|---|
なかの世界成長ファンド | 1.3% |
ひふみワールドプラス | 1.628% |
セゾン資産形成の達人ファンド | 1.34%±0.2%程度 |
インベスコ 世界厳選株式オープン <為替ヘッジなし> (年1回決算型) |
1.903% |
インデックスファンドに比べると信託報酬が高いと感じる人もいらっしゃるかもしれません。しかし、アクティブファンドは、インデックスファンドとは違い、コストの低さで優劣を決めるものではありません。
アクティブファンドはファンドマネージャーが投資戦略にあった銘柄を「選別」しています。手間がかかる分、コストが上乗せされているのです。
判断すべきポイントは、その「選別」が納得できるものかどうかです。投資戦略や運用成績にコスト以上の価値を見出す人は、アクティブファンドを選んでいます。
投資戦略・組み入れ銘柄を徹底解説
なかの日本成長ファンドは、投資先がすべて公開されています。多くの会社は、投資先を上位10位までしか公開していません。なかのアセットマネジメントが、いかに顧客との信頼関係の構築に力を入れているのがわかりますね!
それでは、なかの日本成長ファンドがどのような投資戦略のもと、どのような銘柄に投資しているのかをわかりやすく解説します。
なかの日本成長ファンドの投資戦略
なかの日本成長ファンドの投資戦略は、大きく分けて3つあります。
- 長期的な利益成長が見込める日本企業を厳選し長期保有する
- 売り買いの回数はできるだけ抑える
- 企業と対話しながら運用していく
なかのアセットマネジメントでは、長期的な利益成長が見込める企業を「クオリティグロース企業」とよび、クオリティグロース企業を厳選して投資します。
企業の評価軸を10年とし、短期で売り買いして利益を出すのではなく、長く待ち続けることに重きをおいた投資戦略をとっています。さらに、企業との対話を通じて、経営課題を洗い出し、成長率や成長期間、資本コストを改善するための提案をおこないます。
なかの日本成長ファンドは、企業の成長の恩恵を受けるだけでなく、企業にプラスの影響を与えられる能動的なファンドであることが特徴です。
なかの日本成長ファンドの組み入れ銘柄
なかの日本成長ファンドでは、組み入れ銘柄をすべて公開しています。いきなり全部を見るのは大変なので、2024年8月末時点の組み入れ上位10銘柄を見ていきましょう。
順位 | 銘柄名 | 組入比率 |
---|---|---|
1 | ツムラ | 5.0% |
2 | ロート製薬 | 4.7% |
3 | 扶桑化学工業 | 4.5% |
4 | 味の素 | 4.4% |
5 | 朝日インテック | 4.4% |
6 | オムロン | 4.2% |
7 | 三井不動産 | 4.1% |
8 | 信越化学工業 | 4.1% |
9 | ヤクルト本社 | 4.1% |
10 | ダイキン工業 | 4.1% |
(2024年8月末時点)
組み入れ比率2位のロート製薬は、目薬の「Vロートプレミアムシリーズ」で有名です。それでは、組み入れ比率2位のロート製薬について、なかの日本成長ファンドの投資戦略と照らし合わせてみましょう。
ロート製薬の選定理由
なかの日本成長ファンドは、「長期的な利益成長が見込める企業」を組み込んでいると紹介しました。今後も成長し続けるであろう企業かどうかを判定したいところですが、未来を当てることは誰もできません。そこで、今回は以下の2つのポイントに絞ってロート製薬を分析してみます。
- 過去の業績が右肩上がりになっているか
- 今後の事業計画はどうなっているか
過去の業績が右肩上がりになっているか
過去の業績に目を向けることで、持続的な成長のポテンシャルがあるかを確認できます。マネックス証券の銘柄スカウターを使うと、過去の業績をグラフで視覚的に確認できるのでおすすめです。銘柄スカウターとは、マネックス証券が提供している利用料無料の企業分析ツールです。
青色の棒グラフが売上高を、赤色の折れ線グラフが営業利益を表しています。なかの日本成長ファンドでは「利益成長」に注目しているので、営業利益に注目しましょう。年によっては前年比で営業利益が減っていますが、全体的には右肩上がりで営業利益が増加していますね。
あくまで過去の業績なので将来もこのとおりに業績が伸びるとは限りませんが、少なくとも業績を成長させる力を持っていると考えて良いでしょう。
現在、当サイト経由でマネックス証券で口座開設すると、オリジナルレポート『銘柄スカウター完全攻略マニュアル』がプレゼントされます。この機会に口座開設して、銘柄スカウターを使いこなしましょう!
今後の事業計画はどうなっているか
今後の事業計画は、今後の成長を見込めるかを予想する材料になります。下の画像は、ロート製薬の第88回定時株主総会の資料に載っている、日本での成長戦略をまとめたスライドです。
日本国内では、ロート製薬の代名詞でもある目薬(アイケア)のファンづくりと新規獲得に注力する計画となります。このほかにも、日やけ止めやヘアケア領域で新商品・新ブランドをリリースする計画です。新商品や新ブランドによって新たに顧客獲得ができれば、業績はさらに伸びていくでしょう。
ロート製薬では、海外でもビジネスを展開しています。下のスライドに書いてあるとおり、アジアでのメンソレータムブランドのマーケティングを強化するほか、欧州での事業創出などに取り組む方針です。こちらもうまくいけば、業績の成長が期待できます。
以上の2点から、ロート製薬はなかの日本成長ファンドの投資戦略にぴったり合った銘柄だと言えます。興味を持った方は、ほかの銘柄についても調べてみてください。
どこで買える?SBI・楽天は?
「なかの日本成長ファンド」と「なかの世界成長ファンド」は、楽天証券、マネックス証券、auカブコム証券で買えます。
現在、どちらのファンドもSBI証券では買えません。なかのアセットマネジメントが、楽天証券ホールディングスより出資を受けていることが関係していそうですね。
しかし、日本証券新聞の取材では、他社にも販売経路を広げると発言しています。将来的にはSBI証券でも買えるかもしれません。
楽天証券は楠雄治社長が、当社の理念に共感、応援の思いを持ってくれるので徹底的にお世話になる。時間とともに共感軸ができれば、他社にも広げる。
引用:日本証券新聞「なかのアセット、スタート1カ月 クオリティグロースの本格アクティブ投信 インデックスの時代は終焉」
なかの日本成長ファンド・なかの世界成長は、マネックス証券やauカブコム証券での購入がおすすめです。ファンドを持っているだけで、ポイント還元を受けられます。せっかくならポイント還元の受けられる証券会社で、お得に長期積立をしましょう!
なかのアセットマネジメントは、セゾン投信の創業者である中野晴啓氏が、同社辞任後わずか2カ月で立ち上げた運用会社です。中野氏の想いを濃く反映できる体制で、2つの商品の運用がスタートしました。中野氏はどんな世界を見せてくれるのか、今後の運用成績が楽しみです!
この記事の執筆者
やさしい投資信託のはじめ方編集部
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