【金融庁の調査結果】信託報酬の推移とインデックスファンドの優位性
2020年8月25日、金融庁が国内の投資信託(約5,500本)の運用成績について、2020年の調査結果を発表しました。資産形成を後押しする制度「確定拠出年金(iDeCo・企業型DC)」や「つみたてNISA」が普及してきたこともあり、投資家が払う信託報酬の平均※は6年連続で低くなりました。
※このページでいうところの平均は、残高が大きいほど重みがつけられて計算される「加重平均」です。
また、ページの後半では、金融庁の調査結果をもとに、インデックスファンドとアクティブファンドの比較もしています!
このページのもくじ
信託報酬の平均はどのように推移している?
投資信託は持っている間、運用をお願いするためのコストとして「信託報酬」がかかります。この信託報酬の平均が6年連続で低くなっています。最新データである2019年度末時点、すべての投資信託の平均が1.27%で、前年度の1.35%から0.08ポイント下がりました。
年度 | 信託報酬(%) | 前年度比 |
---|---|---|
2013年 | 1.48 | – |
2014年 | 1.47 | -0.01 |
2015年 | 1.41 | -0.06 |
2016年 | 1.40 | -0.01 |
2017年 | 1.39 | -0.01 |
2018年 | 1.35 | -0.04 |
2019年 | 1.27 | -0.08 |
2019年度末時点、DC専用は0.55%、つみたてNISAは0.60%となっていて、コストの低さが目立っています。特に、インデックスファンドに限れば、DC専用は0.29%、つみたてNISAは0.28%です! こういった資産形成に適している低コストの投資信託が広まったことにより、全体の平均も下がったのだと考えられますね。
アクティブか、インデックスか、どちらに投資する?
今回の金融庁の発表で、もうひとつ注目したいポイントが「シャープレシオ」です。シャープレシオとは、運用効率を示す指標で、かんたんに説明すると「リターン÷リスク」で計算されます。数値が高いほど、リスクに対するリターンが大きく、運用効率が良いことを表します。(リターンがマイナスの場合を除く)
アクティブファンドは、インデックスファンドよりも良い成果を上げてこそ価値があるので、このシャープレシオで比較してみましょう。
カテゴリ | インデックス | アクティブ |
---|---|---|
全ファンド | 0.13 | -0.09 |
国内株式 | 0.12 | 0.06 |
先進国株式 | 0.16 | -0.05 |
新興国株式 | -0.07 | -0.13 |
国内債券 | 0.55 | 0.28 |
先進国債券※ | 0.07 | -0.20 |
新興国債券 | -0.13 | -0.09 |
国内REIT | 0.07 | 0.06 |
海外REIT | -0.14 | -0.12 |
バランス | 0.16 | -0.03 |
※投資適格
上の表のように、ほとんどすべてインデックスファンドのほうが良い成績を収めています。あくまでも、この数字は平均値です。もちろん、インデックスを上回る成果を上げているアクティブファンドもあります。
ただ、この調査結果を見る限りは、やはりインデックスファンドに投資しておいたほうが無難と言えますね。
今回の金融庁の調査結果で見えてきたのは、主に次の2つでした。
- 「確定拠出年金」や「つみたてNISA」の普及により、信託報酬の平均が下がってきた。
- アクティブファンドよりも、インデックスファンドに投資するほうが無難。
資産形成の参考にしてみては、いかがでしょうか。
この記事の執筆者
やさしい投資信託のはじめ方編集部
Twitter「@toushikiso」でも情報発信中です!
「やさしい投資信託のはじめ方」は、これから投資をはじめたい!という方に投資信託を使った投資方法を紹介する、初心者向けのサイトです。口座開設から積立投資、新NISAやiDecoなど、将来の資産形成に役立つ情報を紹介しています。