つみたてNISA(積立NISA)とは?現行NISAとの比較、メリット・デメリットをチェック
つみたてNISAとは、投資で得た利益にかかる税金が非課税になる制度です。本来投資で得た利益には税金がかかるのですが、それがかからないということで、注目が集まっています。テレビやネットで見聞きしたことはあるけど、くわしくは知らないという方も多いと思います。
そこで、このページでは「つみたてNISA」について、わかりやすく解説します。
【解説内容】
- つみたてNISAの特徴
- 「つみたてNISA」と「NISA」の違い
- メリット・デメリット
次のページ以降では、つみたてNISAの運用に向く証券会社の選び方や、つみたてNISAを使った資産運用におすすめの投資信託を紹介していますので、ぜひチェックしてみてください!
つみたてNISAとは?メリットは?
つみたてNISAは、少額からの資産運用を支援する制度です。投資信託による積み立て投資の運用で出た利益が非課税になります。これだけでは分かりづらいので、具体的な例を出して解説します。
皆さんが給与をもらったり、銀行で利息をもらったときには税金が引かれます。それと同じく、投資で利益が出ると、約20%が税金として差し引かれます。ところが、つみたてNISAを使うと、一定額までの投資で出た利益にかかる税金が0%になります。
つみたてNISA | 通常の投資 |
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1万円の運用益が出たら 受け取れる利益は1万円 (税金が0%) |
1万円の運用益が出たら 受け取れる利益は 約8,000円 (税金が約20%) |
運用益に税金がかからないため、効率的に資産運用できるのが、つみたてNISAのメリットの1つです。
ただし、いくらでも優遇されるわけではありません。つみたてNISAでは、毎年40万円までの投資額(非課税投資枠)に限って、運用益が非課税になります。

非課税投資枠は、2018年から2037年まで毎年40万円分もらえます。たとえば、2019年につみたてNISAで投資信託を買った場合、買った年を含め20年間は運用益が非課税になります。
ただし、20年の運用期間のうち、最初の1年目は40万円の枠内で投資信託の買付・売却ができますが、2年目以降は運用と売却しかできません。使い切っていない投資枠は翌年に持ち越せないので注意しましょう。また、投資信託を売っても一度使った投資枠は復活しません。
つみたてNISAでは、2037年まで毎年40万円分の非課税投資枠がもらえますので、さらに運用額を増やしたい場合は、新たにもらえる枠をで追加の投資をおこないます。つみたてNISAが始まった2018年から毎年40万円ずつ投資した場合、最大800万円を非課税のメリットを受けながら運用できます。
このように、つみたてNISAは長い期間、非課税で資産運用を続けられます。ですから、将来使うお金をコツコツ貯めたいなら、つみたてNISAは有望な選択肢の1つになるのです。
「つみたてNISA」と「NISA」との違いは?
「つみたてNISA」に似た制度で「NISA」があります。こちらも、運用益に税金がかからない制度ですが、主に2つの違いがあります。
- 運用できる「商品」が違う
- 「1年間に投資できる額」と「運用できる期間」が違う
それでは、各項目を順に解説していきます。
運用できる「商品」が違う
つみたてNISAで運用できる商品は、長期の資産形成に向いている投資信託と一部のETFです。(2020年12月現在、193本)
一方NISAは、株・投資信託・ETF・REITと、多くの商品を運用できます。
制度名 | 運用できる商品 |
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つみたてNISA | 金融庁が指定した投資信託(193本)など |
NISA | 株・投資信託・ETF・REIT |
どちらも利益を非課税とすることで、効率的に資産形成ができるよう支援する制度ですが、つみたてNISAは、少額からの資産運用を長期にわたって支援する制度です。
長期にわたる資産形成においては、運用にかかるコストが資産形成のネックになります。そのため、つみたてNISAでは投資できる商品を「少額から投資できる投資信託」をメインとし、さらに「運用コストが低い投資信託」に限定しています。一方NISAは運用できる商品が多く、一度に投資できる金額に制限がありません。
投資信託を使って少額から資産運用をするならつみたてNISA、ある程度まとまった資金を運用したい人や、個別株投資に興味がある人にはNISAが向いています。
「1年間に投資できる額」と「運用できる期間」が違う
制度名 | つみたてNISA | NISA |
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年間の非課税投資枠 | 40万円 | 120万円 |
1つの枠で 運用できる期間 |
20年 | 5年 |
制度の終了年 | 2037年 | 2023年 |
先に書いたように、つみたてNISAの非課税投資枠は年間40万円ですが、NISAは年間120万円です。NISAは投資信託だけでなく株なども運用できるので、枠が大きく設定されています。つみたてNISAは、投資信託を少額から運用することを想定しているので、投資枠はNISAよりも小さく設定されています。
また、非課税枠がもらえる期間(制度の終了年)と、1つの非課税枠で運用できる期間が違います。つみたてNISAは2037年まで、NISAは2023年まで非課税投資枠がもらえます。また、つみたてNISAの非課税投資枠は20年間有効なのに対して、NISAの非課税投資枠は5年間有効です。
短期~中期の資産運用ならNISA、長期で資産運用をするならつみたてNISAが向いています。
※つみたてNISAとNISAは、税制改正により制度が一部変更されます。
つみたてNISAで注意したいポイント
続いて、つみたてNISAで注意したいポイントをまとめました。
一度使った非課税投資枠は復活しない
非課税投資枠内では、商品の買いなおしができません。商品券を使って買い物をするのと似ています。一度商品券を使って買い物をすると、商品を返品しても、商品券が返ってこないのと同じように、一度使った非課税投資枠は復活しませんのでご注意ください。
NISAとつみたてNISAは同時に使えない
NISAは年間に120万円、つみたてNISAは40万円まで非課税で資産運用できる枠がもらえますが、これを同じ年に両方使うことはできません。
ただし、年によって双方を切り替えることはできます。たとえば、2020年はつみたてNISAを使い、2021年はNISAを使うという切り替えはできます。
損益通算ができない
損益通算は、1年間で出た利益と損失を相殺して、支払う税金を軽減できるしくみです。つみたてNISAでは、この損益通算が使えません。具体的な例を出して説明します。
たとえば、A証券で10万円分の利益が出て、B証券で5万円の損失が出た場合、通常なら利益10万円に対して税金がかかります。ここで損益通算を使うと、A証券での利益10万円-B証券の損失5万円を相殺し、5万円の利益に対して税金を支払うことになります。しかし、つみたてNISA(NISA)での損益は、損益通算の対象になりません。
税制改正でつみたてNISAの投資期間が延長されます
つみたてNISAは、2020年の税制改正によって投資期間が延長されます。現在の制度では、40万円の非課税投資枠がもらえるのは2037年までです。しかし、今回の税制改正によって投資期間が2042年まで延長され、2038年~2042年までの5年間、毎年40万円の非課税投資枠がもらえるようになります。
つみたてNISAとNISA、どちらがおすすめ?
つみたてNISAは投資できる商品を主に「少額から投資できる投資信託」とし、さらに「運用コストが低い投資信託」に限定しています。つみたてNISAは少額からコツコツと長期で資産形成をしたい方(安定的に資産運用したい方)向けの制度です。
一方、NISAはつみたてNISAで運用できない株や、リスクの大きい投資信託も運用できます。まとまった額を、リスクを取って運用したい人はNISAが向いているでしょう。
どちらを使うか迷う人もいると思いますが、先に書いた通り、年ごとにつみたてNISAとNISAを使い分けることもできますので、興味があるならどちらか始めてみるのも良いでしょう。
つみたてNISA | NISA |
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