【なぜコロナで爆益!?】テトラ・エクイティの評判と今後の見通し
テトラ・エクイティは、コロナショック時に大きな利益を上げたことにより注目されました。コロナショックとは、新型コロナウイルス感染拡大などの影響による、経済の混乱のことです。
2020年2月から3月にかけて、株価が暴落していく中で、テトラ・エクイティは+47%という驚異的な運用成績を上げました。しかし、なぜ下落相場でこれだけの利益を出せたのか不思議に思う方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そこで、このページではテトラ・エクイティが下落相場でも儲かる仕組みや、積立投資に向いているかなどを、わかりやすく解説します。
【なぜ?】下落相場でも儲かる仕組み
ふつうの株式投資では、株価が下がると損失が出てしまいます。しかし、テトラ・エクイティは「先物取引」の仕組みを使って、下落相場でも利益を上げることを目指しています。
先物取引では「買う→売る」という通常の手順だけでなく、「売る→買う」という逆のパターンでも投資できるのです。「売る→買う」の順番で取引すると、株価が下がったときに利益を出せます。わかりやすく説明すると以下のようなイメージです。
- 証券会社から株を借りて100円で売る。
- 株価が80円まで下落したところで買い戻し、株を証券会社に返す。
- 安く買い戻せた20円分が利益になる。
(以下の図の右側「売建ての場合」の赤矢印がこの例です)
テトラ・エクイティは「S&P500株価指数先物」を主な投資対象としています。S&P500とは、アメリカの主要な500銘柄から構成される指数であり、アメリカ経済全体を表すような指標となっています。
つまり、テトラ・エクイティはアメリカ全体の株価が上がるか下がるかを予想して、相場が上昇しているか下落しているかに関わらず、利益を求めていく投資信託なのです。
運用成績・チャートは以下のとおりです。
テトラ・エクイティの基礎データ(評価・評判など)
評価・おすすめ度 | ★★☆☆☆(2/5) |
---|---|
販売会社 | SMBC日興証券など |
運用会社 | 三井住友DSアセットマネジメント |
ファンド設定日 | 2019年11月6日 |
分類 | 外国株式型アクティブ |
販売手数料 (購入時手数料) |
最大2.2% |
信託報酬 (運用管理費用) |
0.954%程度 |
信託財産留保額 | なし |
償還日 | 2029年10月15日 |
冒頭にも書きましたが、テトラ・エクイティはコロナショック時に大きな利益を上げたことで良い評判が広がりました。2020年12月現在、純資産総額は1,800億円を超えています。
しかし、テトラ・エクイティは積立投資には不向きです。『やさしい投資信託のはじめ方』では、株式市場・経済全体の成長からリターンを得るような形で、こつこつ長い時間をかけて資産形成していくことを推奨していますので、テトラ・エクイティはおすすめしません。
先に紹介したとおり、テトラ・エクイティは先物取引を使い、短期的に株価が上がるか下がるかを予想するような形で利益を求める投資信託です。これは、株やFXのデイトレードと近い考え方です。
2029年10月15日に運用を終えて換金されることが決まっているので、長期間持ち続けることもできません。
積立投資に取り組む場合は、長い目で見て、どっしりと構え、安心して長期保有できるファンドに投資すべきです。「下落相場でも儲かる」などという甘い言葉に惑わされることなく、「下落相場ではより安く買える」という考え方で臨みましょう。
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今後の見通し
テトラ・エクイティの今後の見通しですが、結論から言うと、相場が大きく動く場面では儲かり、あまり動かないときは儲からないでしょう。理由は、テトラ・エクイティの投資戦略にあります。
「テトラ」とはギリシャ語で”4”を意味する言葉です。「エクイティ」は、株式や株主資本を意味します。ファンド名にこういった意味を持つテトラ・エクイティは、4つの戦略で株式投資をしていきます。
- 日中トレンド戦略
- 月初トレンド連略
- 月中トレンド戦略
- 月末トレンド戦略
(1)日中トレンド戦略
株価チャートに上下のトレンドラインを設定し、上方トレンドラインを上回ったら「買い」、下方トレンドラインを下回ったら「売り」の注文を入れる戦略です。「買い」を入れたら当日中に売る、「売り」を入れたら当日中に買い戻す、といった具合でデイトレードします。
(ポジションの構築・解消)
トレンドラインという言葉を聞きなれない方も多いかと思います。イメージとしては「この価格まで来たら損失に耐えられないだろう」というデッドラインを想像するとわかりやすいです。
たとえば、「買い」の注文を入れている人は、価格が下がり続けると損失が膨れ上がり、耐えられなくなったタイミングで売ることになるでしょう。すると、売りが売りを呼ぶような形でどんどん価格の下落が加速していきます。(「売り」注文の場合でも同じことが言えます)
テトラ・エクイティは、こういった価格の下落・上昇が加速していく勢いに乗っかるよう注文を出していくのです。毎秒1万件規模のビッグデータを使ってタイミングを見極め、かなりシビアなチキンレースのような世界で勝負しています。
相場が大きく動く場面では、この戦略が上手くハマるため、コロナショック時のように儲かります。ここから紹介する(2)(3)(4)の戦略は、よく使われている戦略で、それほど優位性はありませんので、かんたんに説明します。
(2)月初トレンド戦略
アメリカでは確定拠出年金の掛け金による購入などで、月初は株価が上がりやすい傾向があります。これを利用して、月初に「買い」の注文を入れていく戦略です。
(3)月中トレンド戦略
オプション取引が株価に与える影響を捉えるために、オプション満期日の価格と先物の価格を比較して、「買い」や「売り」を注文していく戦略です。
(4)月末トレンド戦略
月末はバランスファンドが定期的に行う資産配分の調整により、株価推移とは反対の値動きをする傾向があります。これを利用して、月末に「買い」や「売り」を注文していく戦略です。
楽天証券やSBI証券で買えるの?
楽天証券やSBI証券は人気のある証券会社なので、投資できるかどうか気になる方も多いかと思います。しかし、基本的に楽天証券やSBI証券では、テトラ・エクイティに投資できません。※
※IFA(金融商品仲介業者)を経由すれば買える場合もありますが、ふつうに投資することは不可能です。
テトラ・エクイティには、SMBC日興証券や三井住友銀行で投資できます。販売手数料は以下のようにSMBC日興証券(ダイレクトコース)のほうが安いです。
金融機関 | 販売手数料※ |
---|---|
SMBC日興証券 | 1.1% |
三井住友銀行 | 3.3% |
※1万円投資する場合
テトラ・エクイティに投資するなら、SMBC日興証券を選びましょう。
テトラ・エクイティは、下落相場でも儲かる可能性がありますが、積み立てには向かない投資信託です。ファンドの力量を信じて投資してみたい方は、SMBC日興証券を選びましょう。
この記事の執筆者
やさしい投資信託のはじめ方編集部
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