つみたてNISA(積立NISA)とは?現行NISAとの比較、メリット・デメリットをチェック

つみたてNISAとは、税制優遇を受けながら少額からの積立投資ができる制度です。聞いたことはあるけど、詳しくは知らないという方も多いと思います。このページでは『つみたてNISAがどのようなものなのか?』『つみたてNISAとNISAの違いは?』『これを使うことで、どんな良いことがあるのか?』など分かりやすく解説します。
(1)「つみたてNISA」(積立NISA)はどんなもの?特徴と通常の投資との違い
利益にかかる税金が0%
皆さんが給与をもらったり、銀行で利息をもらったときに税金が引かれますよね?それと同じように、投資をした時に利益が出たら、そこには税金がかかります。普通に投資をして利益が出ると、約20%は税金として引かれてしまいます。
ところが、ここに出てくる『つみたてNISA』は、本来利益にかかる税金が0%になる制度です。
つみたてNISA | 通常の投資 |
---|---|
1万円の利益が出たら 受け取れる利益は1万円 (税金が0%) |
1万円の利益が出たら 受け取れる利益は約8,000円 (税金が約20%) |
このように、利益にかかる税金がない分、効率的に資産運用できるのが、つみたてNISAのメリットの1つです。
運用できる商品は『投資信託』がメイン
『つみたてNISA』では少額から投資できる投資信託をメインに運用します。『資産運用はまとまった金額が必要』といったイメージがあると思いますが、このつみたてNISAでは、従来からある投資のイメージを払拭するための仕組みがあります。
資産運用というと『株』というイメージがありますが、つみたてNISAでは株は運用できません。代わりに投資信託を運用します。この投資信託は、株にないメリットがあります。
投資信託 | 株 |
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投資信託は様々な企業の株を組み合わせて、株よりも少額から投資できるように作った商品です。株は1つで1つの企業に投資する仕組みですが、投資信託は1つで様々な企業に投資できる仕組みとなっているので、リスクを分散できる効果もあります。(詳しくは投資信託の基礎ページで紹介しています。)
つみたてNISAでは、投資できる商品が厳選されている
つみたてNISAは、金融庁の肝いりで始められた制度です。ニュースなどで『貯蓄から投資へ』という言葉を聞いたことがあると思います。金融庁は、投資の経験が少ない方でも投資を始められるよう、様々な工夫をしています。
■投資できる商品は161本
投資信託は何千本もの種類がありますが、つみたてNISAで投資できる投資信託は、長期投資に適している161本の商品に限定されています。(2018年9月現在)
■運用にかかる手数料が低い商品が選ばれている
投資信託は、運用期間中に運用管理費用(信託報酬)がかかります。この手数料は高いものから低いものまで商品によって様々です。つみたてNISAでは、長期で資産運用をすることを前提としているため、運用対象の商品は手数料が低く、運用のパフォーマンスに大きく影響を与えない投資信託が選ばれています。(国内株のインデックス投信の場合は0.5%に制限されています。)
(2)『つみたてNISA』の注意点・デメリット
売買のルールが特殊

つみたてNISAは、毎年40万円の非課税で投資できる枠が与えられ、それを20年間運用できます。しかし、商品の買い付けは、投資できる枠を与えられた最初の1年目のみで、あとの19年間は売却と運用だけで、追加で買い付けはできません。
そして、年間40万円の投資枠は、使い切らなかった場合でも、翌年度には持ち越せません。また、商品を売っても投資枠は復活しません。
損益通算ができない
つみたてNISAにもデメリットがあります。例えばA証券で10万円分の利益が出て、B証券で5万円の損失が出た場合、通常なら利益10万円に対して税金がかかります。ここで損益通算を使うと、A証券での利益10万円-B証券の損失5万円を相殺し、5万円の利益に対して税金を支払うことになります。しかし、つみたてNISA(NISA)での損益は、損益通算の対象になりません。
(3)『つみたてNISA』と『NISA』の違いは?
つみたてNISAは2018年から始まった制度ですが、その数年前にNISAという制度が先行して始まっています。NISAは、利益にかかる税金が非課税という面で『つみたてNISA』と同じですが、細かな違いがあります。双方の違いは何かをチェックします。
■つみたてNISAの年間投資可能額は40万円、NISAは120万円
利益にかかる税金が優遇される代わりに、どちらのNISAにも投資できる金額に制限があります。つみたてNISAは年間40万円、NISAは年間120万円です。
■NISAは株に投資できる
つみたてNISAは、投資信託しか購入できません。一方NISAは株やREIT(不動産に投資できる商品)にも投資できます。
■投資できる期間は『つみたてNISA』が長い
NISAは、毎年定期預金をかけるように投資をしていきます。そして、定期預金の満期のように、一定期間がすぎると、運用が終わります。NISAは通常5年間ですが、つみたてNISAは最大20年間運用ができます。
つみたてNISA | NISA | |
---|---|---|
年に投資できる額 | 40万円まで | 120万円まで |
非課税運用が できる期間 |
20年間 | 5年間 (ロールオーバーを利用して最大10年間) |
制度の終了年 | 2037年まで | 2023年まで |
投資できる商品 | 投資信託・ETF | 株・投資信託・ETF・REIT |
利用可能年齢 | 20歳以上~ | |
開設できる口座数 | 1人につき1口座(複数の証券口座で開設できません) | |
資産の途中引き出し | いつでも可能 |
『つみたてNISA』と『NISA』は同時に併用できません
どちらの制度も魅力的なので、両方同時に使いたくなると思います。しかし、両方同時に使うことはできません。ただし、年によって双方を切り替えることはできます。例えば、2018年は『つみたてNISA』を使い、2019年は『NISA』を使うという切り替えはできます。
(4)つみたてNISAとNISA、どちらを選べば良いのか?
つみたてNISA | NISA |
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つみたてNISA(積立NISA)のメリットとデメリットをおさらい
【メリット】
- ・利益に対して税金がかからない
- ・つみたてNISAは、20年間非課税で運用ができる
- ・非課税投資額が最大800万円まで拡大(現行NISAは最大600万円)
【デメリット】
- ・年間に投資できる額は、現行のNISAと比較すると少ない。(トータルではつみたてNISAの方が多い)
- ・運用できる商品は、長期投資に向いている投資信託に限定される(株や毎月分配型投信などは除外される)
- ・損益通算の対象外である
つみたてNISA(積立NISA)はどんな方におすすめなのか?
では、つみたてNISAはどんな方に向けた制度なのでしょうか?この制度は投資によって生まれた利益にかかる税金が0%となります。また、投資できる商品はで安定的に資産形成ができる商品に限定されていますので、他の投資方法よりも比較的リスクが小さくなります。つみたてNISAは少額からコツコツと長期で資産形成をしたい方(安定的に資産運用したい方)向けの制度だと考えています。
反対に、大きなリターンを目指すようなアクティブ投信や株などに投資したい方は、通常の証券口座や現行のNISAでリスクを取った投資をするという選択があると思います。
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次のページでは、つみたてNISAを利用する金融機関の選び方・チェックポイントを見ていきます。